好きだったけどどこでもネタしかやらなくて こりゃあかんって思ったわ 2019年12月に催されたM-1グランプリ決勝戦は、ファイナルラウンドに「ミルクボーイ」「かまいたち」「ぺこぱ」の3組が進んだ。, そのうちの1組、「ぺこぱ」の漫才のネタを文字起こしし、定量的に分析してみると、いくつか発見があったので記録しておく。, オードリーの若林がラジオで、ぺこぱをM-1で初めて見て感動したと話し、その漫才を“多様性を肯定する力を持つ新しい漫才”と定義づけ、注目を高めた。そのウワサの漫才の中身がどういう構造をしているのか分析してみた。, 「ぺこぱの簡単な紹介」松陰寺 太勇(しょういんじ たいゆう) 「ツッコミ」と、シュウペイ「ボケ」の2人組コンビ, ・松陰寺のセリフには「松」とつけた・シュウペイのセリフは「かっこ」にくくった・タイムをはかり秒数をいれた・「ボケ」のセリフには、秒数の隣に※をつけた・観客が笑ったシーンに(観客笑)をつけた・特にウケたシーンに(観客笑★)をつけた, 松:どうもありがとうありがとう、自己紹介します、 松陰寺太勇です!ヒュー今日も決まったそしてこちらが, [00.09秒]※(後ろを振り向いて大声で)「どーもー、ぺこぱのシュウペイでーす!お願いしまーす!」, [00.12秒]松:イヤ、うしろに向かってしゃべった声が壁に跳ね返り確実にみんなに届いてる(観客笑)今日もオレたちが届いてる、しゅうぺいです, [00.27秒]「突然なんだけどさ、これからくる超高齢化社会に向けてさ、お年寄りには親切にしたいなと思って」, [00.45秒](プシュー)(おじいさん役の松陰寺が電車に乗ってくるが、相手もおじいさんになる), [00.52秒]※アウアウアウ…アウアウアウ…、「アウアウアウ…ヨカッタラ席どうぞ」, [00.54秒]松:イヤ、お年寄りがお年寄りに席をゆずる、…時代がもうそこまできている!(観客笑)そうだ…、これが日本の現実なんだ。, [01.04秒]松:イヤ、元気なじいさん!、に、こしたことはない。(観客笑)そうだな?, [001.10秒]※(パラパラダンスを急に踊りだすおじいさん)「あわわ、カラダが覚えとる」, [01.20秒]松:おいちょっと待ってくれよ相方、なんでパラパラ踊ってんだよ、オマエがお年寄りやってどうすんだよ, [01.26秒]松:間違いっ、を、間違いと認められる人になろう。(観客笑)そうだろう?間違いは…故郷だ…。…誰にでもある。(観客笑)どうもありがとう。, [01.56秒]松:イヤマンガみてえなボケしてんじゃねえよ!、って、いうけどそのマンガってなんですか?(観客笑★)もう適当なツッコミをするのは辞めにしよう, [02.16秒]※「すまんのう」(席に座りながらそのヒザの上にゆずってくれた若者を座らせるおじいさん), [02.21秒]松:イヤ、おじいちゃんのヒザの上!は、懐かしい!(観客笑)あの頃を懐かしがろう, [02.32秒]※「レロレロ、レロレロレロ、レロレロレロレロワレワレハ、宇宙人ダ」, [02.38秒]松:イヤ、宇宙人が電車に乗ってくる!ということは、宇宙船が壊れている可能性がある(観客笑)移動手段を失っている助け合っていこう, [02.57秒]松:いや、はげてねえ!、…のは今だけなのかもしれない!…先の事はわからない(観客笑★), [03.07秒]松:イヤ、ゴリラが乗ってきた!、ら、車両ごとゆずろう(観客笑★)命を守ろう…, [03.14秒]※(プシュー)(架空のドアに肩をぶつけて)「痛っ、痛っ、イタタタ体育大学主席で卒業!」(変なポーズ), [03.19秒]松:イヤ、どーゆーボケ?、 であっても、処理するのがオレの仕事なんだ(観客笑★), [03.33秒]※(プシュー)「今ボケの畳み掛け中ですけど、みなさんどうですかー?」, [03.36秒]松:イヤ、聞かなくていい!、けど、実際のところどうですか?(さわやかな笑顔)(観客笑★)悪くないだろう?, [03.45秒]※(プシュー)「おじいさん、席をどうぞ」(プシュー、縦に顔がドアに挟まれる), [03.47秒]松:イヤ、同じボケ!、じゃ、ない!(観客笑★)挟まれる角度が違う!, まず、こうして分析してみるとぺこぱは、観客の笑いが「ツッコミのセリフのあと」にかたよっているのが特徴的だとわかる。すべての笑いがツッコミのあとに起こっている。ウワサの“相手を肯定する新しいツッコミ”だ。, はじめの1分間以外は「12-15秒に1度」の頻度で笑いがコンスタントにつくれていて、“大きな笑い”は最後の1分間に集中している事がわかる。, 「ツッコミが相手を肯定する」というパターンをはじめの1分間でじっくりあたためて徐々にキャラクターが浸透してきたら、観客が“次はどう肯定してくれるんだろう”とツッコミを待ちはじめるようになり、後半はもう“ツッコミ待ち”のムードがつくれている。そうなればあとは「畳み掛け」れば、笑いが起こる構造に。, 中でも一番良く練られてるなと感じたのは「宇宙人が電車に乗ってくる、ということは、宇宙船が壊れている可能性がある、移動手段を失っている、助け合っていこう」だ。ちょうど4分間のネタの中央あたりに置かれている。普通のツッコミなら「なんで電車に宇宙人がおんねん、おかしいやろ」で充分成立するところで、想像をふくらませて、“なぜそこに宇宙人がいるのか”を不思議に思い、時間をさかのぼって原因の根幹に気づこうとする姿勢が背景にあり、場違いで笑える。でもそれはとても大切な“配慮の気持ち”だ。前述のオードリー若林の評価に乗っかるとすれば、“宇宙人が登場すること”が多様性なのではなくて、“宇宙人を理解して、宇宙人の価値観に合わせて配慮しようとする奥ゆかしい心遣い”が見え隠れするからこそ、ぺこぱの漫才は「ダイバーシティ漫才」と呼べるのではないか。, 【M-1グランプリ2019】Final Round 「ぺこぱ」漫才ネタを文字起こし[定量的に分析してみた], 本業の「マーケティング戦略の分野」と、副業の「アート/ドラマ分析の分野」の記事をnoteしてます。 いやちょっと待ってくれ相方、なんでパラパラ踊ってんだよ!フォ前がフォ年寄りやってどうすんだよ!, 松陰寺さんのキザなキャラクターでフリが効いているので、お年寄りをフォ年寄りと言うだけで笑いが起きています。, ぺこぱと言えば2015年8月にNHKで放送された「笑けずり(1stシーズン)」に出演していました。, 笑けずり(1stシーズン)には、ぺこぱの他にコンビ解散前のひょっこりはん、Aマッソ、ザ・パーフェクトなどが参加しています。, 喧嘩や恋をするメンバーがいる中、ぺこぱは真剣にお笑いに取り組んでいる様子が印象的でした。, 笑けずり時代のぺこぱはまだ「ノリ突っ込まない」を発明しておらず、松陰寺さんがボケ、シュウペイさんがツッコミのキザキャラ漫才。, 松陰寺さんはかかとにローラーのついた靴を履いており、舞台上を滑り回るのが当時のつかみでした。, 「まるで、台本がなく芸人さんが素で喋っているような漫才」が面白いと言われていますが、ぺこぱの漫才は明らかに2人の素ではないキャラクターが作り込まれていて、2人の真面目さに好感が持てます。, 「笑けずり」や「おもしろ壮」で見たときも面白かったのですが、このM-1を見てさらに好きになりました。, 今なら、ぺこぱが一躍有名になったM-1グランプリ2019の動画を、Amazonプライムビデオで無料で見ることができます。, 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。, M-1グランプリ2019 1stラウンド。ミルクボーイの漫才ネタ「コーンフレーク」を書き起こし。見事に優勝したこのミルクボーイの漫才はまさに発明です。この優勝をきっかけに多くのメディアに出演するようになりました。シンプルでついつい真似したくなるような漫才です。, M-1グランプリ2019 1stラウンド。かまいたちの漫才ネタ「UFJ」を書き起こし。このネタも山内さんの異常さが際立つ内容でした。内容は狂気に満ちていながら、2人のキャラクターが愛らしくて憎めないのが、かまいたちの魅力だと思います。, M-1グランプリ2019 1stラウンド。ぺこぱの漫才ネタ「タクシー」を書き起こし。ぺこぱが発明した「ノリ突っ込まない」漫才が脚光を浴びるきっかけになったネタです。否定しない優しい笑いが、疲れた現在人の心を癒してくれる。そんな漫才です。.